日本酒君からのメッセージ

今日の酒蔵日記には、「蔵人のひとりごと」を担当している日本酒君こと奥田君の思いを書いてもらいました。

「仲間の辛さ、切なさを身に刻む。」

 前回の「蔵人のひとり言」の配信後その翌日に「能登半島地震」は起こりました。
同じく前回に皆様にご報告させていただいた「清酒学校三期生、三年目を全員無事修了」の私と同じ三期生であり仲間、輪島市朝市通りにある日吉酒造の日吉さんと連絡がついたのは地震当日の午後1時33分。日吉さんの第一声は「うち、かなりやられたわぁ〜」でした。酒蔵土塀の壁が崩れて、地震前日に火入れした新酒のタンクにも壁のかけらが崩れ落ち、使い物にならなくなってしまった、とのこと。
この新酒を醸す(かもす)ために、彼がどれだけの準備をしてきたか、苦労をしてきたか、痛いほどわかるだけに彼の言葉にはやるせなさと、あきらめと、悲しさが滲み出ていました。自分自身がその立場なら、頭の中が真っ白になり、ただ立ち尽くすだけになるだろう、日吉さんが語る冷静で正確な事故報告に、聞いている私の方が、体を抉られる思いでした。
暫くの会話の後、「皆に、とりあえず体は無事だよ!と伝えておいて。あと、5月末の卒業式には行けるかどうか今はまだわからない・・・」と日吉さんのからの伝言。何か役に立ちたい。今はまだ私自身、自分の蔵の仕込みが終わってないだけに動くことはできませんが、落ち着き次第、助けになりたい。仲間の助けになりたい。何をすればいいのかわからないけど、ただ、何かをしたい、考えたい。

8人全員で卒業式を迎えたいんです。

酒蔵加越 蔵人 奥田和昌