出品用大吟醸の火入れ

kurabito2006-02-09

 鑑評会に出品するためのお酒は、大吟醸酒を滴取りしたお酒を使います。酒蔵・加越ではしぼってから一週間でオリを引き*1、一ヵ月後に火入れをすることにしています。
 火入れとは、お酒の温度を60度〜65度くらいまで上昇させることで、「殺菌」と「酵素の失活」という効果があります。お酒には約20%のアルコール(エタノール)が含まれているため、アルコール自体の殺菌作用との相乗効果で60度〜65度という低温でも十分殺菌できます。(牛乳などは105度くらいまで上昇させています。)「火落ち菌」というお酒を腐らす菌を殺します。また、酵素は主に麹から由来するものですが、その主成分がたんぱく質であるため日時の経過と共にお酒に「生老ね香」と呼ばれる香りを発生させます。火入れにより、たんぱく質を変性させ、生老ね香を出さないようにするのです。
 オリを引いた大吟醸酒は斗瓶にから2L容耐熱ビンに小分けし、「半切り」というステンレス製のタライに熱いお湯を張り、それににつけて火入れをします。温度を測りながら、60度になったら引き上げ、冷水につけて急冷します。
 画像は、半切りの中に箱ごと12本のビンを入れ、蕪城さんが順番にビンを振って温度が均一になるようにしているところです。約20分で火入れは完了し、すぐに冷水につけました。