kurabito2006-03-27

 一昨日のブログで、洗い湯のことを書きました。そのお湯は、保温するために金属製のタンクを使わず樹脂製のタンクを使っています。
 酒屋の道具の中では、桶はまず見かけなくなりました。せいぜい資料館に飾ってあるくらいです(木桶の仕込を復活させようという動きもあります。全国で何社かの酒蔵で実際に行われているそうです)。確かに、洗浄が大変なことや毎年修理が必要なことなどで、ホーローやステンレス、グラスや樹脂の桶に代わってゆきました。
 酒蔵・加越では10年くらい前まで、洗い湯の桶として使っていました。毎秋、蔵入りと同時に「桶しょう」さんと呼ばれていた桶作りの職人さんにきてもらい、ばらばらになっていた桶でも見違えるくらいきれいに修理してくれたものです。職人のわざを感じました。でも、その時彼は80歳を越える年齢で、若い弟子を連れてはいましたが、先行きが心配だったのを覚えています。とうとう、ある年の秋に「もう商売をやめました」ということを聞かされました。かつては、風が吹いただけで桶屋が儲かった*1時代もあったのでしょうが、需要そのものが少なくなってきましたからね。時代の流れだから仕方ないのですが、出掛けたときに木桶が飾ってあったりすると、そんなことを思い浮かべます。

*1:「風が吹くと桶屋が儲かる」風が吹くと砂ほこりがたち目にそのほこりが入り、目の不自由な人が増える。琵琶法師のような弾き語りをする人が多くなり、三味線が多く作られる。三味線には猫の皮が使われるので、猫が大量に捕らえられ、猫が減る。そうすればねずみが増え、桶の箍(たが)をかじるので桶屋に修理を依頼する人が多くなる。というようなことらしいですが、おそらくこれは江戸時代ぐらいでしょうから、琵琶法師のよな人がホントにいたのかどうか。この話が本当ならば、数学的にいって「必殺の10段論法(?)」ですな。もっとも関係の無いことを関係あるものにこじつけることの例えに使われているような気もしますが・・・